レンタルを止められると、全営業所で借りられません|支払いが遅れたあとの順番

現場ノウハウ

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建設機械レンタル会社の受付をしています。機械の手配や配達の段取りが主な仕事ですが、支払いが遅れているお客さんに催促の連絡を入れるのも、受付の仕事です。

その立場から、はっきり書いておきたいことがあります。支払いが遅れて本当に困るのは、遅れたその日ではありません。困るのは、次に機械を借りようとしたときです。

しかも、一度止まるとその営業所だけの話では終わりません。ここは検索してもあまり出てこないので、順番どおりに書きます。

結論:止まるのは「次の注文」のとき

先に答えを出します。支払いが遅れたときに起きることは、だいたいこの順番です。

段階何が起きるか現場への影響
① 催促電話・メールで連絡が入るまだ借りられる
② 新規の貸出を断られる次の注文が通らなくなる現場が止まる
③ 回収契約を解除され、機械の返還を求められる工事の続行が難しくなる
④ 取引停止会社として取引を止める。他の営業所でも借りられない借り先を一から探すことになる

いちばん痛いのは②です。支払いが遅れた瞬間に機械を引き上げられるわけではありません。今使っている機械は、そのまま使えることが多い。だから「まだ大丈夫だろう」と思ってしまう。ところが次の現場で機械を頼んだときに、受付から「お支払いの確認が取れておりまして…」と言われます。その日の朝、段取りが崩れます。

※ここから書く順番や基準は、私が見てきた範囲の話です。レンタル会社ごとに違いますので、自分が使っている会社のやり方は、その会社に確認してください。約款の条文については、実際に公開されているものを引用します。

① 催促の段階でやっておくこと

最初は電話とメールです。ここは事務的な確認で、誰かを責める段階ではありません。

受付から見ていて思うのは、この段階で連絡が取れるお客さんは、たいてい止まりません。「今月は厳しいので、来月まとめて払います」と言ってもらえれば、それは会社として判断ができます。判断ができれば、待てることがあります。

逆にいちばん厳しくなるのは、連絡が取れなくなる場合です。こちらは金額の話より先に「もう払う気がないのか、それとも払えないだけなのか」が分からなくなります。分からなければ、止めるしかありません。

ここは読んでいる方の感覚と逆かもしれません。払えないことより、連絡が無いことのほうが重く見られます。

② 新規の貸出が止まる ── 現場が止まる瞬間

次の段階で、新しい注文を受けられなくなります。

これは意地悪ではありません。貸す側から見ると、回収できていない相手に新しい機械を出すのは、未回収をもう1台増やすことになるからです。すでに出ている機械の使用を止めるわけではありませんが、追加はできません。

現場側から見ると、これがいちばん困る形です。明日の朝までに機械が必要なのに、いつも使っている会社で断られる。別の会社に一から口座(取引の登録)を作ると、それだけで数日かかることがあります。急ぎの現場で、その数日は致命的です。初めて電話するときに何を伝えるかは別記事にまとめてあります。

③ 約款には「催告なく解除できる」と書いてあります

ここは感情の話ではなく、契約書の話です。借りるときに渡される約款の後ろのほうに、こう書かれています。

大手の約款を2社、実際に見てみます。

アクティオのレンタル契約約款・第25条(契約の解除)には、催告なく契約を解除できる場合が並んでいます。そこに挙がっているのは、約款違反、レンタル料等の支払いの遅滞、手形の不渡り、公租公課の滞納、住所不明、信用状態の悪化などです。「催告なく」というのは、あらためて督促してから解除する、という手順を踏まなくてよいという意味です。

太陽建機レンタルのレンタル約款・第24条(契約の解除)も同じ組み立てで、第1項第2号に「レンタル料、修理費、その他乙に対する債務の履行を遅滞したとき」とあります。そして第2項で、解除された場合は直ちに機械を返還し、返還日までのレンタル料と付随する費用を現金で支払うと決められています。

さらに両社とも、次の一文を置いています。

甲は当然に期限の利益を失い、残存する債務を直ちに現金で乙に支払う(アクティオ第25条第3項/太陽建機レンタル第24条第3項)

「期限の利益の喪失」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、意味は単純です。「月末まで待ってもらえる」という約束が消える、ということです。残っている分を、分割ではなく、いま全部、現金で払うことになります。

約款そのものの読み方は建機レンタル料金の仕組みに整理しました。どこに何が書いてあるかを先に知っておくと、こういうときに慌てません。

遅延損害金は年14.6%

もうひとつ、数字で書かれているものがあります。

アクティオの約款・第29条(遅延損害金、弁護士費用の負担)には、年14.6%の割合(年365日の日割計算)による遅延損害金の定めがあります。同じ条文の第2項では、法的請求や法的措置にかかった弁護士費用を請求できるとされています。

年14.6%は、遅れた金額にかかります。10万円の支払いが1か月遅れれば、単純計算で1,200円ほどです。金額そのものは大きくないかもしれません。ただ、この数字を知っておく意味は別にあります。あとで出てくる資金調達の手数料と比べるための目安になるからです。

④ 取引停止 ── ここが本題です

そして最後の段階が取引停止です。この記事で一番伝えたいのはここです。

支払いが止まったお客さんの情報は、その営業所の中だけで持っているわけではありません。営業所の間で共有されます。しかも、屋号や会社名だけでなく、本人を特定できる形で回ることがあります。

つまり、「あの営業所で断られたから、隣の営業所で借りればいい」は通りません。同じ会社なら、どこの営業所でも同じ扱いになります。

受付として窓口で確認しているのは、屋号ではなく本人の身分証です。個人や一人親方の取引では、運転免許証で確認することが多い。名前や屋号を変えても、本人を確認する以上は同じことになります。

ここを知らないまま止まってしまうと、次に借りられるようになるまでの道が、ぐっと遠くなります。

保証金は取らない会社もあります

「滞ったら保証金を取られるのか」と聞かれることがありますが、保証金を取らない会社もあります。私のところは取りません。

代わりに何が変わるかというと、支払い方法です。掛け(後払い)ではなく、その場で払う形になります。それと身分証の確認が入ります。

なお、契約がまだ無い状態で個人が初めて借りるときに何を用意するかは個人でも建機は借りられますにまとめてあります。この記事は「契約はあるけれど、支払いが滞ったとき」の話です。

止まる前に、できること

順番を全部書いたうえで、いちばん役に立つことを書きます。

遅れるなら、遅れる前に一本電話を入れてください。これだけで扱いが変わります。

貸す側の立場で考えると分かります。止めても、こちらに金は入りません。止めれば、そのお客さんが現場を続けられなくなり、結果として回収はもっと遠くなります。使ってもらって、払ってもらうほうが早い。だから「いつ、いくら払えるか」が分かっているお客さんは、待てるのです。

言いにくいのは分かります。ただ、言いにくさで黙って1か月過ぎるのと、電話1本で3週間待ってもらうのでは、結果がまったく違います。

伝えるときは、この3つだけで足ります。

  • いくら払えるか(全額でなくてもかまいません)
  • いつ払えるか(日付で言うこと。「来月中に」ではなく「来月10日に」)
  • なぜ遅れているか(元請からの入金待ちなら、そう言ってください)

3つ目は意外に効きます。入金待ちだと分かれば、こちらも見通しが立つからです。

それでも足りないとき ── 順番を間違えないこと

現金が足りない理由が「元請からの入金が遅れているから」であれば、先に確認すべきなのは法律です。建設業法には、元請が下請に代金を払う期日のルールがあります。ここは元請の入金が遅いとき、まず確認するのは法律ですに全部書きました。

そのうえで資金を作る必要があるときは、安い順に当たるのが原則です。日本政策金融公庫、信用保証協会付きの融資、銀行、そのうえで売掛金の早期資金化(ファクタリング)。

ここで、さきほどの年14.6%を思い出してください。ファクタリングの手数料は、30日で10%なら年利に換算して120%ほどになります。遅延損害金の年14.6%とは桁が違います。順番を飛ばして先にここへ行くと、来月さらに苦しくなります。

それでも「今週中に現金が必要で、融資では間に合わない」という状況はあります。その場合の選択肢として、申込だけなら無料で見積もりが取れるサービスがあります。手数料と入金までの日数を必ず確認してから決めてください。

アクティブサポート|300万円までの小口。申込から最短30分で無料見積

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よくある質問(FAQ)

Q. 1回遅れたら、すぐ止まりますか?
いいえ。1回の遅れでいきなり取引停止になることは、まずありません。問題は回数ではなく、連絡が取れるかどうかです。

Q. 今借りている機械は、すぐ取りに来られますか?
その日にすぐ、ということは通常ありません。回収は③の段階です。ただし新しい注文は②の段階で止まります。

Q. 他の会社なら借りられますか?
その会社が独自に判断します。私が知っているのは自社の中の運用で、会社をまたいで情報が共有されているのかは分かりません。ただ、新しい会社と取引を始めるには口座の開設が必要で、すぐには間に合いません。

Q. 止まってしまったら、もう二度と借りられませんか?
支払いが済めば取引を再開できる場合があります。ただし掛けに戻るまでには時間がかかることがあります。ここは会社ごとの判断なので、直接相談してください。

Q. 分割で払わせてもらえますか?
会社によります。ただ、相談した結果として分割になることはあります。黙って遅れた結果として分割になることは、ほとんどありません。

Q. レンタル会社が悪いという話ですか?
違います。払えない事情があるのは分かります。この記事で言いたいのは、止まる順番を知っていれば、止まる前に打てる手があるということです。

まとめ

  • 支払いが遅れて困るのは、遅れた日ではなく次に借りようとしたとき
  • 順番は催促 → 新規の貸出停止 → 回収 → 取引停止
  • 約款には「催告なく解除できる」と書かれている。解除されると期限の利益を失い、残りを直ちに現金で払うことになる
  • 遅延損害金は年14.6%(アクティオ第29条)。弁護士費用の請求条項もある
  • 取引停止になると、営業所をまたいで借りられなくなる。情報は営業所の間で共有される
  • 窓口で確認しているのは本人の身分証。名前や屋号を変えても同じこと
  • 遅れる前に一本電話。いくら・いつ・なぜの3つを伝える
  • 資金を作るなら安い順。ファクタリングを最初に選ばない

※本記事は2026年9月時点で公開されている各社の約款をもとに作成し、あわせて私が勤務先で見てきた範囲を一般化して書いています。約款の内容は会社ごとに異なり、改定されることもあります。対応の順番や基準も会社ごとに違います。実際の取引については、必ず取引先の最新の約款と契約書をご確認ください。

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