発電機を借りる前に決める7つのこと|受付が毎回聞くこと

屋外の建設現場に置かれた可搬型のエンジン発電機と、つながれたコードリールや投光器、そばで確認をする作業員のフラットイラスト 現場ノウハウ

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建設機械のレンタル会社で受付をしています。発電機の問い合わせで一番多いのが、「発電機貸して」の一言で終わる電話です。

発電機は「大きさ」ではなく「何を動かすか」で決まる機械なので、この一言だけでは在庫すら押さえられません。結局こちらから10個くらい質問することになって、お互いに時間を使います。

その次に多いのが、「使う機械は決まっているんだけど、何kVAを借りればいいか分からない」という相談です。こちらは正直ありがたいパターンで、動かす機械さえ分かれば容量はこちらで計算できます。

この記事では、電話をかける前に決めておいてほしい7項目をまとめました。ここが埋まっていれば、電話1本で機種と配達日まで決まります。

結論:この7つが埋まっていれば電話は3分で終わる

  1. 何を動かすか(機械の名前と台数)
  2. その機械の消費電力(カタログやプレートの数字)
  3. 電圧と相(単相100V/単相200V/三相200V)
  4. 出力10kW(12.5kVA)を超えるか(超えると届出が要る)
  5. 置き場所(排気の抜け方、雨、盗難)
  6. (住宅街・夜間なら防音型が要る)
  7. 燃料(ガソリンか軽油か、誰が入れるか)

逆に、機種名は分からなくて構いません。「コンクリートカッターとポンプを使う」と言ってもらえれば、そこから逆算するのが受付の仕事です。分からないものを無理に調べてから電話しなくて大丈夫です。

1. 何を動かすか(ここが全部の出発点)

発電機の容量は、つなぐ機械の合計で決まります。しかも「同時に使うかどうか」で答えが変わります。

丸ノコを1台使うだけなのか、投光器4灯とサンダー2台を同時に回すのか。ここが違うと必要な発電機が2ランク変わります。電話では「使う機械の名前」と「同時に何台動くか」をセットで伝えてください。

2. 容量は「運転時」ではなく「起動時」で決まる

ここが一番の落とし穴です。モーターは動き出す瞬間に、回っているときの何倍もの電気を食います。

デンヨーの資料では、負荷の種類ごとに必要な倍率がこう示されています。

負荷の種類起動時定常時現場での例
誘導電動機3.0〜5.0倍1.3〜2.0倍水中ポンプ、送風機、撹拌機
整流子モータ2.0〜3.0倍1.3〜1.6倍丸ノコ、サンダーなどの電動工具
ハロゲン負荷2.1〜2.8倍1.2〜1.8倍ハロゲン投光器
抵抗負荷1倍1倍電気ヒーターなど
出典:デンヨー「エンジン発電機の出力算定について」

三相モーターだと数字はもっと厳しくなります。アクティオの選定表では、1.5kWのモーターを直入れで起動するのに5.1kVA、5.5kWなら18.6kVA、11kWなら37.2kVAの発電機が必要とされています。運転だけなら5.5kWのモーターは8.1kVAで足りるので、起動時と運転時で倍以上の差があることになります。

「動いてからは足りるはず」で選ぶと、そもそも起動しません。

容量が足りないと何が起きるか

同じ資料には、小さい発電機を選んだときの症状も書かれています。電圧が急激に下がって、マグネットスイッチやリレーが誤動作する、他の電動機が減速・停止する、照明がチラつく、水銀灯が消灯する——といった具合です。

「発電機は動いているのに機械の調子が悪い」という現場の相談は、だいたいここが原因です。機械が壊れたわけではなく、電気が足りていないだけ、というケースがあります。

ちなみに、そのkVAという数字をカタログでどう読むか——必要容量の出し方、三相機から単相を取るときの制限、騒音値dBの条件——は発電機は何kVA必要か|kWで選ぶと動かないにまとめました。スペックの読み方はこちらをどうぞ。

受付が最初に聞くのは「何kVA」です

実際の電話でこちらが最初に聞くのは、「何kVAですか」です。用途から逆算するのが本当は正しい順番ですが、話を進めるにはまずサイズが要ります。だからこの記事の1と2が埋まっていれば、電話はそこで終わります。

もうひとつ、正直に書いておきます。普段機械を扱っていない一般のお客さんには、13kVAを超えるような大型機は基本的にお断りしています。2.8kVAクラスの可搬型は問い合わせも多く、普通にお貸ししています。断るのは、その上の話です。

ただ、その2.8kVAクラスでも質量を伝えると、一段下のランクに変える方がよくいます。性能の問題ではありません。重くて扱えないからです。とくに個人のお客さんは一人で使おうとするので、トラックから一人で降ろせないという壁にぶつかります。「借りられるか」より先に「降ろせるか」を考えてください。

意地悪ではありません。この規模になると軽油のディーゼルで、質量は数百kgになります。置き場所も、搬入経路も、下ろす手段も、燃料の扱いも、可搬型とは別物です。そして出力10kW(12.5kVA)以上は届出と主任技術者の対象——これは「4」で書いたとおりです。13kVAという線は、ちょうどその上にあります。

逆に言えば、「何に使うか」をきちんと説明できれば、話は通ります。断られたと感じたときは、用途と動かす機械を伝えてみてください。それで出せる機械が変わることがあります。

そして、現場から来る「動かない」「差し込めない」という連絡。原因として実際に多いのは、取扱説明書を読まずに使おうとしたケースです。機械と一緒に説明書は付いています。電話をかける前に、まずそれを開いてください。それでも分からなければ、遠慮なく連絡してもらって構いません。

3. 電圧と相を先に確定させる

単相100V、単相200V、三相200V。この3つは別物で、差込口の形も違います。

三相の機械を単相の発電機につなぐことはできませんし、その逆もできません。現場に届いてから「差し込めない」となると、往復の回送費を丸ごと無駄にします。

機械のプレート(銘板)に「三相200V」「単相100V」と書いてあるので、写真を撮って送ってもらえれば一番確実です。

4. 出力10kW(12.5kVA)の線を意識する

これは知らない人が多い話です。出力10kW(12.5kVA)以上の発電設備は「自家用電気工作物」にあたり、保安規程の届出と、電気主任技術者の選任(または外部委託)が必要になります。

中部近畿産業保安監督部が可搬型・非常用発電設備向けに出しているパンフレットにも、この基準がはっきり書かれています。根拠は電気事業法第42条(保安規程)と第43条(主任技術者)で、届出先は現場所在地を管轄する産業保安監督部です。

つまり、25kVAや45kVAの発電機を借りる時点で、この手続きの対象になります。工期が数日でも対象です。

ここで大事なのは、「誰が設置者になるのか」を借りる前に決めておくことです。レンタル会社が代行してくれるのか、元請けが出すのか、下請けが出すのか。ここが曖昧なまま現場が始まってしまうケースがあります。契約の段階でレンタル会社と発注者の間で必ず確認してください。

5. 置き場所は「排気が抜けるか」で決める

発電機は屋内で絶対に使えません。ここは「なるべく避けてください」ではなく「絶対にダメ」です。

消費者庁が令和3年8月に出した注意喚起によると、携帯発電機の事故31件のうち中毒事故が14件、そのうち5件が死亡事故でした。屋内で使用中の事故は4件で、そのうち3件が死亡しています。

同じ資料に載っている東京都の実験では、家庭用の携帯発電機を室内で運転したところ、一酸化炭素濃度が10分程度で1,600ppm以上に達しました。この濃度は2時間吸えば死亡に至るレベルです。10分です。

倉庫の中、地下、テントの中、シャッターを半分下ろしたガレージ——このあたりは全部アウトだと思ってください。屋外でも、壁と壁に挟まれて風が抜けない場所は危険です。

雨よけにブルーシートをかぶせるのも、排気と放熱を塞ぐので同じ理由でやってはいけません。雨が心配なら、最初から屋根付きの防音型を指定してください。

屋外に置くなら、コードは屋外用で

「排気が抜ける屋外」に置くということは、使う場所と発電機が離れるということでもあります。屋内用の延長コードを雨ざらしの地面に転がしている現場を見かけますが、これは本来の使い方ではありません。屋外で使うなら、最初から屋外用(防雨型)のコードリールを用意しておくほうが確実です。

先に断っておくと、以下で挙げるのは仕様として外せない条件だけです。私自身がいくつも使い比べたわけではないので、「これが一番いい」という書き方はしません。

買う前に確認したい点

  • 屋外用・防雨型かどうか。「屋内用」と明記されている製品を屋外で使わない
  • 定格(何A・何Wまで)を超えないか。発電機の容量だけでなく、コード側にも上限がある
  • コードを巻いたまま使ってよいか。製品によっては全部引き出して使うよう指定されている。取扱説明書を確認する
  • アース付き(3極)が必要か。接地を求める機械につなぐなら、コード側も3極でないと意味がない
  • 漏電しゃ断器つきかどうか。後述の労働安全衛生規則の要求にかかわる

6. 音は「防音型」で解決する(ただし先に言ってほしい)

住宅街、夜間工事、学校や病院の近く。このあたりは防音型を指定してください。

国土交通省の「低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程」の別表には発動発電機も入っていて、基準を満たしたものには低騒音型の標識が、基準より6dB低いものには「超低騒音型建設機械」の標識が表示できることになっています。機械の側面に貼ってあるラベルで判別できます。

ただ、防音型は台数が限られます。「今日の夕方までに防音型を1台」と言われても、出払っていればどうにもなりません。音が問題になりそうな現場なら、日程が決まった時点で押さえておくのが確実です。

7. 燃料は「種類」と「誰が入れるか」を決めておく

小型はガソリン、大型は軽油、というのが大まかな分かれ方です。間違えて入れると壊れます。入れ間違えたときの正しい対応は重機の燃料の入れ間違いは高くつく|軽油とアドブルーにまとめてあります(結論から言うと、まずエンジンをかけないでください)。

そして意外と揉めるのが、「返すときに燃料をどうするか」です。満タン返しなのか、使った分を精算するのか。ここは会社ごとに違うので、借りる前に確認してください。

もうひとつ、ガソリンを自分で買い足す予定があるなら知っておいてほしいことがあります。令和2年2月1日から、ガソリンを携行缶に詰め替えて販売するときは、店側に「本人確認」「使用目的の確認」「販売記録の作成」が義務づけられています。身分証を出す必要があるので、免許証を持たずにスタンドへ行くと買えません。

「ガソリンだけ買ってきて」と若い子を手ぶらで走らせると、そのまま帰ってくることになります。

容器も決まっている(灯油用のポリ容器は使えない)

そもそもガソリンを灯油用のポリ容器に入れることはできません。消防法令の基準を満たした容器(金属製など)が必要です。乗用車で運ぶ場合は、ガソリン用として性能試験をクリアした金属製容器で、最大容積22L以下とされています。

買う前に確認したい点

  • 消防法令に適合した容器か。ガソリンには金属製など基準を満たした容器が要る。灯油用ポリ容器は不可
  • 乗用車で運ぶなら最大容積22L以下。大きければいいわけではない
  • 買っても、自分では詰められない。セルフスタンドでも携行缶への詰め替えは従業員が行う。身分証を持っていく
  • 置く量にも条例の基準がある。一定量以上を貯蔵・取扱いするときは消防署長への届出が必要。基準は市町村の火災予防条例によるので地元消防に確認する

用途別・電源と容量の考え方

動かすものよく使う電源容量の考え方つまずきやすい点
丸ノコ・サンダーなどの電動工具単相100V起動時に定格の2.0〜3.0倍同時に何人が使うかで必要量が変わる
投光器・照明単相100Vハロゲンは起動時2.1〜2.8倍容量不足だとチラつく/水銀灯は消灯する
水中ポンプ・送風機三相200V起動時に定格の3.0〜5.0倍運転時の数字で選ぶと起動しない
溶接専用のエンジンウェルダー発電機との兼用を前提にしない後から溶接を足すと容量が合わなくなる
スポットクーラー・冷風機機種により100V/200V消費電力+起動時の余裕を見る排熱ダクトの行き先も一緒に決める

最後の行のスポットクーラーは、夏場にいちばん相談が重なる組み合わせです。コンプレッサーを積んだ機械なので起動時の余裕がかなり要るうえ、排熱の行き先を決めないと冷えません。こちらは現場のスポットクーラーは排熱で決まる|冷風機との使い分けに詳しく書きました。

安全面でもうひとつ:漏電遮断装置とアース

労働安全衛生規則第333条第1項では、対地電圧150Vを超える移動式・可搬式の電動機械器具を使う場合、その電路に感電防止用漏電しゃ断装置を接続しなければならないと定められています。鉄板の上や導電性の高い場所、湿った場所での作業も対象です。

200Vの機械を回すなら、この装置が付いているかは必ず確認してください。発電機側に付いている場合もあれば、別で用意が必要な場合もあります。

あわせて出てくるのがアース(接地)です。発電機や機械の取扱説明書に接地を求める記載がある場合、アース棒とアース線が要ります。現場に接地極がないことは普通にありますので、必要かどうかは借りる前に確認しておいてください。当日になって「アースが取れない」と分かると、その場では動かせません。

買う前に確認したい点

  • そもそも自分の使い方で接地が要るのか。発電機・機械それぞれの取扱説明書の記載を先に読む。要否は機種と使用条件で変わる
  • 接地工事は資格が要る場合がある。必要な接地の種別や施工方法の判断は、有資格者・電気の担当者に確認する。棒を買えば済む話とは限らない
  • 打ち込む場所。地中の埋設管・ケーブルを傷つけないよう、事前に確認してから打つ
  • アース線とクランプもセットで要る。棒だけ買っても接続できない

よくある質問

Q. 機種名が分からなくても電話していいですか?

まったく問題ありません。むしろ「何を動かしたいか」を言ってもらったほうが早いです。機種名だけ言われて用途が分からないより、用途が分かって機種名が分からないほうが、こちらとしては答えやすいです。

Q. 少し大きめを借りておけば安心ですか?

容量不足よりはずっといいです。ただし発電機は大きくなるほど本体が重く、置き場所と搬入経路の制約が増えます。燃料の減りも早くなります。「起動時の計算をしたうえで少し余裕を持たせる」のが現実的なところです。

Q. 発電機に雨よけのシートをかけてもいいですか?

やめてください。排気と放熱を塞ぐので、一酸化炭素と過熱の両方でリスクが上がります。雨を避けたいなら屋根付きの防音型を選ぶか、風が抜ける屋根の下に置いてください。メーカーが指定していない使い方は、事故が起きたときに誰も守ってくれません。

Q. 10kW以上の届出は本当に必要ですか?

産業保安監督部が出している資料に、出力10kW(12.5kVA)以上の発電設備は保安規程の届出と主任技術者の選任が必要と明記されています。工期の長さは関係ありません。ただし実際に誰が届出をするのかは契約によって変わるので、レンタル会社と発注者の間で必ず確認してください。この記事の情報だけで判断せず、管轄の産業保安監督部にも確認することをおすすめします。

Q. 溶接機も発電機で動かせますか?

理屈のうえでは容量さえ足りれば可能ですが、溶接は電流の変動が大きく、必要な容量が跳ね上がります。溶接をするなら最初からエンジンウェルダー(溶接機付きの発電機)を借りるほうが確実です。「発電機を借りたあとで溶接も足したい」が一番揉めるパターンです。

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まとめ

発電機は「大きさ」で選ぶ機械ではなく、「何を、何台、どう動かすか」から逆算する機械です。

電話の前に7項目のうち1〜3(動かすもの・消費電力・電圧と相)だけでも決まっていれば、あとはこちらで計算できます。全部埋まっていなくて構いません。「これとこれを同時に動かしたい」の一言があるかないかで、話の早さがまったく変わります。

そして置き場所だけは、届いてからでは直せません。排気が抜ける屋外——ここだけは現場を決める段階で確保しておいてください。

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。法令の運用や必要な手続きは変わることがあるため、届出については管轄の産業保安監督部、機械の仕様についてはメーカーおよびレンタル会社の公式情報を必ずご確認ください。

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